園芸・調理用品の使い方
包丁の使い方と
お手入れ方法
協力 田中一之刃物製作所 田中誠貴氏 >> 鍛冶人紹介へ
協力 ㈱三木刃物製作所 竹川誠一氏 >> 鍛冶人紹介へ
協力 三寿ゞ刃物製作所 宮脇大和氏 >> 鍛冶人紹介へ
片刃・両刃包丁の研ぎ方 動画
女性もチャレンジ!包丁の研ぎ方 動画
包丁について
包丁の種類
包丁には大きく分けて片刃『和包丁』と両刃『洋包丁』があります。
また、付け鋼(合わせ)と全鋼(本焼き)の2タイプがあります。
片刃(和包丁)
片刃には表面、裏面があり、地鉄と鋼を鍛接したものです。
切れたものが離れやすく、切った断面が美しいのが特徴です。刺身包丁・出刃包丁・薄刃包丁など和包丁のほとんどが片刃です。
両刃(洋包丁)
両刃は片刃のように表・裏がなく、両面が表面で裏と表がほぼ同一角度で研いだものです。
まっすぐに切り込み左右同じように切れるのが特徴です。洋包丁・三徳包丁・菜切包丁などが両刃(諸刃)です。
包丁の構造(断面と側面)
砥石について
(1)荒砥石(#80~#200)
刃が変形しているもの、又は大きな刃欠け等、赤錆び・鎬(しのぎ)のないものを荒削りします。
(2)中砥石(#800~#1500)
荒研ぎの目を中砥石で研磨、荒研ぎ目を残さない事、研ぎ面を綺麗にすると錆びにくいです。
(3)仕上砥石(#3000以上)
中砥石でできたわずかなキズまで取り除き刃をさらに鋭くします。
面直し砥石又はコンクリートブロックを用意する。
砥石が片減りしたり凹みができた時に、面直し砥石で砥石面を平らにします。平らでないと綺麗な刃は付きません。
ブロックを平らに動かないように固定して、その上に砥石面を置き水をかけながらこすりつける様に砥石を持ち、前後に動かし砥石の凹みが無くなるまで研ぎます。
砥石を研ぐ
研ぐ前に
人工砥石を使用した場合です。
注意:天然砥石の場合は水に付け過ぎると割れる恐れがあります。使用の場合は水に付けずそのまま軽く水を垂らしながら使用します。
研ぐ前に砥石を30分位水につけ、完全に水分を含ませます。含む事により包丁の滑りが良くなります。砥石は中砥石(#800~1500)が綺麗に研げます。
板の上に濡れた布を敷きます。こうすると砥石がグラつかず板の上にしっかり固定されます。
※家庭用流し台でも同じ様にしてください。
片刃包丁(右用)を研ぐ
(1)利き手でしっかり包丁を持ち、中指・薬指・小指の3本で柄を押え、人差し指は包丁の峰、親指は包丁のあごに添えます。片方の手で刃のあるほうを砥石に当て、人差し指・中指・薬指を添えます。角度は動かす向きに対して25~30度。縦方向に往復します。
(2)研ぎ終えたら刃の裏側から親指の腹でかえり刃(刃の部分がザラッとして感触になります)が刃の部分すべてに出ていたらOKです。
包丁を裏返し全体にかえりが無くなるまで70~80度の角度(縦方向)に研ぎます。
包丁は砥石を平らに押し付ける感じで。無くなったら完成です。
両刃包丁を研ぐ
(1)両刃の場合、片刃と違って刃を寝かさないように自分で角度を作らなけばなりません。
利き手で包丁を持ち、刃の表から研いでいきます。刃の角度を15度~20度くらい浮きを保ち、角度は動かす向きに対して25~30度。縦方向に往復。『カエリ』が出るまで研ぎましょう。
(2)次に、刃の裏を研ぎます。
こちらも角度15~20度くらい浮きを保ち、カエリが出るまで研ぎます。最後に裏返してカエリを取れば完成です。
※包丁の峰の下に10円玉2~3枚挟む角度で。
ワンポイント!
片刃・両刃ともここまでで十分なのですが、さらにキレイに研ぐ場合は仕上砥石(#3000以上)を使い、同じ要領で研ぎます。研磨面がさらにキレイになります。
刃が爪に引っかかる状態なら刃がキチンとついている証拠です。
刃欠け修理
包丁の刃が欠けた場合、通常の研ぎの方法では修正できません。刃巾は狭くなりますが最初に荒砥石で削り落としてからの作業が必要になります。
片刃包丁(右用)を研ぐ
片刃・両刃ともここまでで十分なのですが、さらにキレイに研ぐ場合は仕上砥石(#3000以上)を使い、同じ要領で研ぎます。研磨面がさらにキレイになります。
刃が爪に引っかかる状態なら刃がキチンとついている証拠です。
(2)刃欠けが無くなると鎬(しのぎ)線を切り刃を研いで上げていきます。この時以前のしのぎ角度に合わせて研いでください。
(3)切り刃を研ぎ、しのぎ線も上に上がると中砥石(#800~#1500)で裏押しします。荒砥の研ぎ目が消えて新しい刃裏が付いているか確認します。
包丁のチェック・柄付け
切味チェック
(1)新聞紙がスパッと切れるとOKです。
(2)切味が悪ければ、再度、仕上げ研ぎからやり直します。
(3)切味が良ければ完了です。
包丁の手入れ・保管方法
鋼(はがね)の包丁はよく切れますが、手入れが良くないと錆びてしまいます。包丁を使った後、熱湯をまんべんなくかけて乾燥しておくと錆びにくく衛生的にも良いです。永く保管しておく場合は、食用油を薄く塗り、新聞紙に包んで風通しの良い場所に保管して下さい。
和包丁柄の取付け方
長年使用していると中子(なかご)部分のサビにより柄が割れてしまいます。そのまま使用すると危険ですので柄の交換が必要になります。
(1)中子の腐食した部分をできるだけこすり落として下さい。バーナーかコンロで中子が赤くなるまで熱します。
(2)柄の溝に差し込み、柄尻を槌でたたいて埋め込んで下さい。適度な部分まで入りましたら完成です。
包丁が長持ちする!
日々のお手入れ方法
(1)家庭用スポンジタワシにクレンザー(研磨材)と少量の水を付け、平らな面の汚れを磨き落とします。
(2)平らな面が終わると刃の部分も同様に磨きます。手を切らないように注意して下さい。
両刃は裏面も(1)(2)をおこないます。
(3)片刃の場合裏面も同様に磨きます。
柄もスポンジでこすり、全体を水洗いして乾いた布で水気を拭き取って下さい。
剪定鋏の使い方と
お手入れ方法
協力 おの義刃物 田中寛之氏 >> 鍛冶人紹介へ
剪定鋏の選び方
一般に大きくなるほど男性向けとなります。
おの義の剪定鋏は末永くご使用頂く為に研ぎ直し・ネジの交換・止具の修理などメンテナンスをする事が可能です。
※組み立て時には微調整が必要です。
(項目4で組立手順を紹介しています。)
各部名称(図解)
良い剪定鋏とは…
実際に握り、刃を開いた状態から閉じる間、刃先同士がずっと擦れ合うのが最も良い状態です。その間、わずかな抵抗を感じることが出来ます。
刃付けは2段刃より1段刃の方が切れ味は良いです。
また、刃の表面を鏡面研磨することで、樹木のヤニの付着を抑えます。
刃の形状
剪定型とは、ハマグリ刃+カマ刃のことで2枚の刃の形状が異なります。
太い枝を切っても刃が傷まないように、上刃の根元は鈍角で刃に向けて徐々に鋭角になっています。
おの義の鋏は1段刃(ハマグリ刃)で刃の裏面に小刃をひくことで刃が噛まないように仕上げています。
(上がハマグリ刃・下がカマ刃)
刃の形状(ハマグリ刃)
裏小刃(拡大)
両刃鋏(芽切鋏)
両刃型とは芽切鋏とも言われ上下に2枚の同形状の刃が付いてます。
双刃型とは両刃型の改良版で刃の部分を山型に削り、強度を保ちながら軽くしたモデルです。シノギ型ともいわれ、作業角度により刃先が見え易いのも特徴です。
裏スキ
芽切鋏や片手刈込鋏に使う作業で刃の裏側を凹状に削ることで切れ味が向上し、樹木のヤニが刃先から凹面に逃げるので鋏の開き止まりを軽減しています。
隙間が裏スキ
歪(ひずみ)
鋏を水平にし、刃の部分を太陽に向けて見ると、刃先とネジ部分は隙間が無く、その間には僅かな隙間ができます。(写真参照)
この隙間が歪(ひずみ)といわれ、少ないほど良く切れますが、全く無いと刃が開かなくなったり逆に歪が大きいと擦り合わなくなり全く切れない鋏となります。
剪定鋏の正しい使い方
剪定鋏には右利き用と左利き用とがあります。グリップを握った時に刻印が手の甲(外側)になるように持つとハマグリ刃が自然と下向きになります。
注意)左利きの人が通常の右利き用の剪定鋏を使うと、合わせ面にかかる力が内向きから外向きになるので、すり合わせが甘くなり切れ味が落ちてしまいます。
右利き用
左利き用
「慣らし作業の必要性」 おの義の剪定鋏は組立・歪取り・包装の際に検品を心がけておりますが、より安全に剪定鋏をお使い頂くために慣らし作業をお勧めします。
木のヤニが付着しないように潤滑スプレーや椿油をネジ部分と刃の表面に散布し、細かい小枝を数回切って下さい。
刃先の『カエリ』と呼ばれる金属のバリがなくなり、よりスムーズな使い心地を体感できます。
小枝を切って馴らしてください。
太い枝の切り方
太い枝を切る場合は、木の枝に対して斜めに刃を差し込んで力を加えながら上下に回して切ると楽に剪定ができます。
(1)上から
(2)下に回して切る
注意!)切断中に左右にひねると刃が折れる原因となります。
分解・組立方法
分解
(1)ストッパーを外し刃を開かせてからバネを縮ませ、片側から外していきます。
※安全の為バネ取り外し後、再度ストッパーを掛けて下さい。
(2)ネジ裏面のナットを外してから表面(刻印)側のネジを反回転にゆるめ、ばらします。
チェック!!
(1)上刃のネジ穴はネジ山を切っていません。
(2)下刃(カマ刃)はネジ山が切ってあります。
(3)ネジも根元にはネジ山が切ってありません。
組立
(1)上記の分解方法とは逆の手順で上刃からネジを通して下さい。
次に下刃(カマ刃)にネジを通し、刃が開くか開かないか位の状態まで締付け、反対側からナットを締めて下さい。
(2)次にネジを時計の反対方向に軽く開く位まで緩め、ナットをもう一度締め直します。
(3)バネを取り付け握り、刃の開きづまり・ガタつきが少ないか確認して下さい。
※刃が開かない場合はネジを再度緩め調整して下さい。((2)の作業を繰り返します。)
研ぎ方
上刃(ハマグリ刃)
※人工砥石#1000
(1)刃のオモテ面の角度に沿って砥石を当て、刃のウラ面に『カエリ』と呼ばれる金属のバリが出るまで研いで下さい。
(2)カエリが出てきたら裏側からそのバリを取る為に数回、裏小刃を研いで下さい。刃元から刃先まで全体を砥石に当てて研ぎます。
裏小刃研ぎ
下刃(カマ刃)
(1)カマ刃もオモテ面から研いでいきます。刃の形状に合った砥石(丸みの付いたダイヤモンドシャープナー等)を使用下さい。
(2)曲面全体が当たるようにその角度のまま押すように平行に研いで下さい。
カマ刃は先に行く程、鈍角になっております。当てる角度に注意して研いで下さい。
注意:ウラ面(刃が当たる部分)は研がないで下さい。ウラを研ぐと歪が狂い、全く切れない状態になる恐れがあります。2枚の刃がすり合わさって切れる『鋏』という刃物は非常にデリケートな手工具です。刃のウラ出し・歪取りは熟練職人でも難しい作業になります。
保管方法
※刃物の取扱いは細心の注意を払い、お子様の手の届かない場所に保管して下さい。
刈込鋏の使い方と
お手入れ方法
協力 ㈲吉岡刃物製作所 吉岡 崇氏 >> 鍛冶人紹介へ
刈込鋏とは…
木の枝葉を刈込ために作られた鋏です。生垣や庭木などの葉を整えていきます。長くてまっすぐな柄が特徴的で植木職人さんにとって必要アイテムでもあります。非常にデリケートな作業で使う為、切れ味に大変こだわり、メンテナンスが欠かせない道具でもあります。
各部名称(図解)
刈込鋏の種類
一般にベースとなる形状の違いはありませんが、刃のとがらせ方により使い分けられています。
葉刈タイプの方の刃が鋭利で枝葉もスムーズに切断して頂けるようになっており逆に刈込鋏は少し太い枝も切れるようになっています。
歪(ひずみ)を見る
これを歪(ひずみ)といい、写真のような状態が良いとされています。
全く無いと刃と刃が順番に当たっていかないので全く切れなくなります。
歪の修正は非常に難しいので専門の業者へお出し下さい。
刈込鋏の研ぎ方・お手入れ方法
0.使用する道具
砥石(粗さの指定は特にありません)現在お使いの砥石をご使用下さい。※ダイヤモンド砥石でも可
椿油(刃物用油)防錆・摩耗を軽減し、刃の開閉をスムーズにします。
メガネレンチ 10.11 片手鋏のネジ外しに使用
メガネレンチ 12.13 両手鋏のネジ外しに使用
※メーカーにより若干サイズが違う場合があります。(また、ネジを外さずに研ぐことができます)
1.小刃研ぎ
まず、小刃の部分を研いでいきます。その時必ず写真のように刃の厚い方から薄い方へと砥石のあてる方向に気をつけて研いで下さい。
注意
刃を研ぐ際にはケガをしないよう十分注意してください。
注意
鋏の裏側は絶対に研がないで下さい。歪(ひずみ)が狂い切味の低下や刃こぼれの原因となります。
刃を薄く研ぐと⇒枝・葉への食い込みが良くなる反面、刃こぼれし易くなります。
刃を厚く研ぐと⇒食い込みが悪くなり切味は落ちるが、刃こぼれしにくくなります。
2.ウラ押し
小刃を研ぐとカエリと呼ばれる研ぎの副産物が出てきます。ウラ押し作業でカエリを取り、好みに合わせた切味を再現します。
ウラ出しの角度は20~30度くらいに大きさは0.3~0.5ミリ以内にして下さい。
注意
小刃を研ぐときも、押す方向に気をつけて研いで下さい。ウラ押しを大きくしすぎた場合、小刃研ぎを再度行うと切味が戻ります。
※この場合、カエリをとる必要がありません。
ウラ押しを小さく⇒葉刈など切れ味重視(刃欠けし易い)
ウラ押しを大きく⇒刈込など耐久性重視(切れ味が低下)
3.仕上げに油をつける
鋏の表・裏全面、特に擦れ合うところに粘りのある刃物用油をつけて下さい。
刃と刃の間、ネジ部にもつけます。
永くご愛用し、以上の方法でも切れない鋏はご相談下さい。
ワンポイント!
~小刃を二段刃にし、より耐久性を重視する~
小刃を二段にすることにより、より耐久性を持たせることが出来ます。
荒切りなどを主に行うときにこのような研ぎ方をします。当然、耐久性が増す分、切れ味は低下します。
※二段刃にするときもウラ押し作業は行ってください。